【不動産投資】物件の買い増し戦略とは?メリットやリスク、適切なタイミングを解説

不動産投資において、1棟目の運営が波に乗ったところで2棟目、3棟目と買い増しを検討している人も多いですよね。
とはいえ物件の買い増しをするにあたり、

メリットやデメリットが気になる

買い増しをするタイミングがわからない

投資初心者が買い増しをするのは危険ではないのか

などと疑問を抱いてはいないでしょうか。

今回は物件の買い増し戦略として、メリットやリスクはもちろん、適切なタイミングについてまとめてみました。

不動産投資で買い増しをするメリットとは

不動産投資で2棟目、3棟目と買い増しをするにつれ家賃収入が増えるのは当然のことですが、それ以外にどんなメリットがあるのでしょうか。

不動産投資で買い増しをするメリットとして、主に以下の4点が挙げられます。

  • すでに所有している物件での経験を活かせる
  • 空室や設備劣化によるコスト、災害リスクなどを分散できる
  • 単利から複利になる
  • 物件を売却する選択を取りやすくなる

それぞれの詳細について、さっそく見ていきましょう。

すでに所有している物件での経験を活かせる

2棟目の購入にあたり、1棟目で培った知識や経験を活かせます。

そのため、購入までのハードルが低くなることはもちろん、円滑に投資運営をすることができるでしょう。

また、物件探しの段階においても1棟目の購入時点で押さえるべきポイントや注意点がわかっていることから、より良い条件で不動産投資をスタートできる可能性が高いといえます。

関連記事:不動産投資で「複数所有」が理想とされる理由とは?

空室や設備劣化によるコスト、災害リスクなどを分散できる

物件を複数所有することで、あらゆるコストや災害リスクを分散できます。

例えば、地震や火災など予期せぬ災害によって建物が滅失してしまったとしても、他の地域に2棟目を有していた場合にはそちらでカバーすることが可能です。

また、空室や設備劣化によって収支に影響が出ても、2棟目で穴埋めができるでしょう。

単利から複利になる

「単利」とは、預けた元本にのみ利息がつくことを指し、不動産投資でいえば不動産収入が1棟の物件からしか得られない状態を指します。

それに対して「複利」とは、元本についた利子を元本に組み込むことで、利子にも次の金利がつく仕組みを指します。つまり、元本が多くなればなるほど、資産が増加する速度が速くなります。

不動産投資における複利とは、1棟目で得られた家賃収入を元手に2棟目、3棟目以降の頭金などに利用することを指し、収益面において大きなメリットといえるでしょう。

もちろん、1棟目で得た利益を借入金の繰り上げ返済に回したり、余剰金としてプールしたりすることもできますが、2棟目の頭金へ回したほうが結果的に効率よく不動産投資を進められます。

不動産投資において「単利」と「複利」ではどれほどの差が出るのか、イメージしやすいように簡単なシミュレーションを記載してみました。

【前提条件】物件購入価格を4,000万円とし、家賃収入は年間200万円、利回りは年5%とします(維持費や税金など、すべて考慮)。今回はわかりやすくするために、利回りだけの比較としました。

・単利の場合
1棟のみ保有している場合、1年間での利益は200万円×5%で10万円となります。
そのため、もし15年間保有したとしたら累計利益は、10万円×15年間で150万円になります。

・複利の場合
複利においては、5年ごとに物件が1棟ずつ増えると仮定します。
条件は、単利と同様で考えてた場合、以下のようになります。

経過年数保有物件数単年利益
5年2件20万円
10年3件30万円
15年4件40万円
累計利益360万円

物件を新たに購入するごとにその年以降の利益が増えることから、結果として累計利益はそれなりに大きな金額になることがわかります。

物件を売却する選択肢を取りやすくなる

ゆくゆく、所有不動産の「出口戦略」を考えたとき、対象不動産が1棟しかなければ売るか売らないかの2択となります。

一方で不動産を2棟以上持っていれば、それらの収支状況や周辺状況を考慮したうえで1棟だけ売るなど、さまざまな選択肢を検討できるようになるでしょう。

関連記事:不動産を売りたいオーナー様必見!不動産売却の手順をご紹介

不動産投資で買い増しをするリスク

不動産投資の買い増しにおいては、いくつかのリスクも存在します。

ここでは主なリスクを4つ、取り上げてみました。

  • 投資に失敗するリスクが高くなる
  • 固定費が多くなる
  • 不動産価値の変動による影響が大きくなる
  • キャッシュフローの計算が複雑になる

投資に失敗するリスクが高くなる

1棟目の投資で得た知見をもとに次の投資先を判断できる一方で、複数の物件を所有するうえでは管理がより複雑になります。

そのため、管理会社を活用するなどして不測の事態でも迅速に動けるような状況を作っておくことが大切です。

また、共倒れとならずに済むように分散投資をしていたとしても、大幅な景気変動が起きてしまった場合には、必然的にすべての所有不動産に対して多大な影響が及ぶことを頭の片隅に置いておきましょう。

固定費が多くなる

複数の物件を購入して管理するとなれば、手間が増えるのはもちろんのこと、維持費も増加します。

また、一般的に不動産投資をするにあたって銀行から資金を借り入れることから、毎月の収益が増えていく一方で返済額も大きくなります。

そのため、空室が増えるなどした結果、稼働率が落ち込んでしまうと場合によっては破綻してしまう可能性もゼロではありません。

よって、買い増しにおいては2棟目の経営が安定するまでの間はキャッシュフローを重視した運営をすることが何よりも大切です。

キャッシュフローがプラスであれば、金利が上昇した際のリスク対応に役立つほか、固定資産税などの税金の支払いに充当できます。

不動産価値の変動による影響が大きくなる

不動産投資は短期間で結果が出るものではなく、中長期的なスパンで収益を得ることを目的とした投資です。

そのため、購入時点で人気のあるエリアが数十年後も同じように人気があるかどうか判断しづらく、予測が難しい点は一つのリスクであるといえるでしょう。

また、景気やトレンドが地価の変動要因となるのはもちろんのこと、地震や津波といった予期せぬ災害リスクも当然絡んできます。

先のことは誰にもわかりませんが、不動産価値の変動があることを理解したうえで、極力リスクの低い物件を選ぶようにしましょう。

キャッシュフローの計算が複雑になる

先ほど軽く触れましたが、不動産を買い増せば買い増すほど、銀行や金融機関からの借入金が増えるため資金の管理や運用が複雑になります。

特に不動産投資が波に乗るまでは、「キャッシュフロー」の管理に注意を払うようにしましょう。

キャッシュフローとは現金の流れのことで、家賃収入などで得られる収入から支出を引いて、手元に残る資金がいくらなのかを把握するのに利用します。

キャッシュフローがプラスであるかどうかが、不動産を健全に運用できているかの目安となるので、まずはキャッシュフローをプラスでキープすることを意識してください。

そのうえで、家賃をできるだけ下げないように努力したり、不動産購入時にできるだけ低い金利でローンを組んだりすることも大切です。

関連記事:不動産投資を始めるうえで知っておきたいローンの金利について。金利の種類と低く抑えるポイント

不動産投資で買い増しを検討する適切なタイミングとは?

不動産投資で買い増しをする場合、銀行や金融機関から融資の許可が得られなければそもそも話になりません。

そのため、「この人なら融資をしても大丈夫だろう」と相手に思ってもらえるような状況をしっかりと作っておくことが何よりも大切になります。

無事に2棟目の物件を購入するためにも、1棟目の物件をできる限り以下の状態に保っておくことがベストでしょう。

  • 空室率が低い
  • キャッシュフローが黒字である

もちろん、不動産市場の地合いを見抜くことも必要ですが、上記の条件を満たすことができれば買い増しの最適なタイミングというのは特に存在しないことになります。

ここでは、1棟目の運営で押さえておきたい「空室率」と「経費率」に加え、意識しておきたいフリーキャッシュフローについて簡単にご紹介します。

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空室率と経費率に注意

銀行や金融機関が融資可否を判断するうえで、「空室率」は極めて重要な判断指標となります。

空室率が高ければ、不動産投資の要である家賃収入を期待することが難しく、お金を融資する側からすれば貸し倒れになるリスクが高いと判断するでしょう。

なお、空室率は次の計算式で求められます。

空室率=(空室数×空室期間)÷(全体の室数×365日)

例えば全部で10戸ある物件で、うち2部屋が2ヵ月間(62日)空室であった場合の空室率は次のようになります。

(2戸×62日)÷(10戸×365日)=約3.4%

空室率が高いか低いかを判断するのはあくまで各金融機関となりますが、年間を通じてなるべく低い値を維持するように心がけましょう。

また、空室率に加えて「経費率 」にも注意が必要です。

経費率は「必要経費÷家賃収入」で求められ、経費率が極端に高い場合には内訳を一度見直したほうが良いかもしれません。

必要経費として以下の項目が含まれますが、ローンの返済費用や減価償却費が含まれないことに気をつけてください。

  • 委託管理費
  • 修繕費
  • 水道光熱費
  • 仲介手数料
  • 火災保険料経費率

フリーキャッシュフローも確保しよう

アパート経営や不動産投資においては、「フリーキャッシュフロー(=自由に使えるお金)」を確保しておくことも大切です。

フローキャッシュフローは、営業キャッシュフローから投資キャッシュフローを減算して求められます。

フリーキャッシュフローが多ければ多いほど余裕のある運営ができていることになり、逆に少なければ運営自体を見直すきっかけとなります。

こまめに気を配り、健全かつ余裕のある運営を継続できるように心がけてください。

買い増しにあたって空室率や経費率、フリーキャッシュフローに気を配るのはもちろん、既存の物件についても管理体制を整え、資産価値を落とさずに維持していきましょう。

「不動産投資初心者が買い増しをするのはおすすめしない」といった意見を耳にしたことがある方もいるかもしれませんが、一概にそうとはいえません。

1棟目を購入する際に、2棟目以降も見据えられているかどうかが重要であり、決して投資初心者だから危険というわけではないのです。

とはいえ、初心者は不動産経営におけるトラブルなどに対する経験がないことから、手放しで2棟目を購入することは得策とはいえないでしょう。

先に述べたように、2棟目を購入する上で生じるリスクなどを事前にしっかりと理解したうえで購入することが大切です。

条件を変えた物件を選ぶ

不動産投資に限らず他の投資手法においてもいえることですが、複数の不動産を所有するうえで「分散投資」を心がけることが極めて重要です。

例えば、1棟目の物件を東京都心部で購入した場合、2棟目も人口密度が高い東京を選びたくなってしまうかもしれませんが、それはおすすめできません。

仮に都心部で大規模な災害が起きてしまった場合、両物件が共倒れになってしまうリスクが極めて高くなります。

そのため、2棟目の物件は1棟目とは違うエリアで探したほうが、リスク管理の観点からして得策でしょう。

また、エリアのほかに「築年数」にも注意が必要です。

不動産はどうしても経年劣化が生じるため、将来的に大規模修繕をするためのまとまった資金拠出が必要となります。

その際、1棟目と2棟目の築年数が近ければ近いほど、短期間で多額の費用がかかってしまう恐れがあるでしょう。

築年数にある程度開きのある物件を購入することで、そうしたリスクを回避することに繋がります。

信頼できる不動産管理会社を見つける

所有する不動産の数が増えていくにつれ、管理する手間も増えていきます。

不動産投資を専業としている人であればともかく、本業の傍らで不動産投資をしている人がほとんどでしょう。

そのため、所有物件数の増加に伴い、外注できる部分は信頼のおける管理会社にお願いしていくスタンスが基本となります。

トラブルが発生したときはもちろんのこと、普段管理するうえで起きたちょっとした問題に対しても、管理会社を活用することで迅速かつ適切に対応できるでしょう。

いくつかの不動産管理会社を比較検討したうえで、自身のニーズに合った会社を見つけることが大切です。

関連記事:不動産投資で重要となる管理会社の選び方とは?安心して任せられる業者を見極めるポイント

まとめ

今回は不動産投資の買い増し戦略と題して、メリットやリスク、適切なタイミングについてご紹介しました。

買い増しを検討するにあたって、よい物件を見つけることはもちろんですが、事業規模の拡大に向けて信頼できる管理会社を見つけることも重要です。


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