【不動産投資】物件の老朽化リスク。価値を落とさないために大切なのは定期チェックとリフォーム

不動産投資をするうえでリスクとしては物件の老朽化リスクがあります。老朽化リスクとは具体的に稼働率の低下、賃料の低下、売却時の価値の低下の3つであり、全てチェーンのようにつながっています。具体的には老朽化により入居者が減ると稼働率の低下となるため入居者募集のため賃料を落とさざるを得なくなり、その結果物件の価値を落としてしまうので売却時に安くなってしまう、という流れです。

長年のメンテナンスを怠った結果、あちこちに修繕すべき箇所が出てきてしまい、価値が下がって人気がなくなってしまった物件では入居者が集まりにくくなってしまうため不動産投資の存続にかかわる重大な問題となります。すぐに老朽化するものではないのでまだ大丈夫…と思って修繕を放置していたら気づいたときには手遅れになってしまうことも考えられます。稼働率が低下し、入居者を集めるために家賃を下げざるを得なくなり、家賃を下げることは物件の価値を落とすことに繋がるため、売却時の価値も落ちてしまいます。そうならないようどうしたら価値をなるべく落とさず維持できるようになるでしょうか。

経年劣化は避けられない。そのため日ごろから修繕費を積み立てておく

賃貸用の物件は経年により徐々に劣化します。これは避けられないものとして毎月修繕費を積み立てておくことが最良の選択肢です。屋内設備なら10年や20年で新しく交換しなければならないものもありますし、屋外設備は屋根や外壁など高額な費用がかかるものもあります。気づいたときには手遅れ、大規模修繕か立て直し…、とならないよう、家賃の収入から少しずつ積み立てしておき、そこから年間3%~5%くらい掛けていくのが一般的です。

具体的には次のような修繕費が必要となります。

  • 1回1万円以下の修繕

小額の修繕はこまめに必要だと思っておきましょう。例えば、ドアノブ・玄関ドアの調節や鍵の交換、配水管の水漏れ、換気扇の故障などです。給湯器やエアコン、浴室設備などちょっとした修理で改善する内容もこれらに含まれます。気軽に修理を依頼できる工務店や大工さんと直接契約しておくか、あるいは、管理会社に全て任せて修理全般を依頼する不動産投資の方法もあります。

  • 入居者リニューアルにかかるコスト

壁紙・クッションフロア、畳や障子の張り替えは毎回行なう場合が多くなっています。そのほか、キッチン・洗面台・エアコン・給油器・フローリングは20年~30年を目安に新しく交換します。1回当たり最低でも10万円~、キッチンなど費用がかさむ設備のリニューアルではプラス10万円は必要となることを覚えておきましょう。

  • 建物維持のためのコスト

屋根・外壁は非常にコストがかかります。塗装の塗り直し・サイディング(建物の外壁に使用する板)のコーキング打ち直しは10年ごとに、屋根の張り替えやサイディングの取り替えは25年~30年に1度程度の割合で行われます。古くなってから一度にメンテナンスするより、こまめに補修を続けたほうが建物自体の持ちが良くなり、結果的にトータルコストが低くなるため、後回しにせず少しずつ行っておくのが不動産投資コツです。

  • 外回りのコスト

樹木の選定・除草費用など周辺のメンテナンスにも費用がかかります。自分でできる場合は無料ですが、業者に依頼するなら最低年間3万円以上の費用を用意しておきましょう。外回りが荒れていると新しい入居者が入りにくくなりますから、不動産投資のためにもきちんと管理しましょう。

下水管は、2~3年に1度清掃業者に依頼して掃除してもらうことで、配水管が詰まって多大な修理費用を取られるといったトラブルを軽減できます。もし下水管がダメになってしまうと、掘り起こすところから始めるため、100万円程度の高額な費用がかかるケースもあります。地方で冬季で積雪に埋もれる地域の場合、さらに費用がかかることも多いです。

リフォームによって付加価値をつけることで家賃アップも可能

老朽化して人気が出なくなりそうだな・・・そう感じ始めたら、リフォームも選択肢にはいります。

中古アパートは初期投資金額が少なくて済みますから、状態次第でリフォームし、生まれ変わらせてさらに収益性のある物件にする戦略もあります。構造や柱がまだ使える物件も多くなっていますから、現代風のつくりに変え収益を高める方法も検討できます。

古い家賃の相場が低くなりますが、リフォームすることで家賃を値上げすることができます。例えばリノベーションを利用すれば、建物の構造のみを残し内装や間取りを丸ごと変えてしまうため、中古でも高めの家賃設置にできます。例えば5万円で貸していた部屋なら、リノベーションで6万円までアップすることは可能です。家賃を上げるためには、ターゲットを決めてその人に合うリフォームをするのがコツです。大学が多い地域で若者を狙うならモダンなフローリングに張り替えたり、キッチンを丸ごと入れ替えるだけでもおしゃれに見えます。高齢者ならバリアフリー設計にしたり、寝室と浴室やトイレなどの水周りを近づける方法などがあります。

賃貸住宅のニーズは年々変化しているため、20年も30年も前の中古アパートだと、現代のニーズを満たしておらずなかなか入居者が決まりません。競合オーナーが多い中勝ち残るために、同じ地域でも現代風の間取り、設備を取り入れるだけで収益性は全然変わってきます。例えば以前は部屋数が多く、細かく区切られた物件が人気でした。今はリビング・ダイニングを1つにして広めの間取りを取り、寝室を別に設けるタイプが人気となっています。以前は2DKの間取りなら、1DKにリフォームするといった、家族が寛ぐリビングを広めに取るのがポイントです。

バスルームは浴室、洗面所、トイレが一体になった物件が多く見られていました。今はバスとトイレが別々なのは基本として、余裕があれば洗面所内の収納にこだわるのも人気があります。部屋のタイプは和室より洋室でフローリング、収納はクローゼットやウォークインクローゼットに人気が集中しています。収納は多いほうが人気が高まるため、下駄箱、リビング収納、キッチン収納、ハンガーパイプ、食品庫などを設置するアイディアがあります。照明はダウンライトに変えたほうが現代風でおしゃれな空間に見えます。照明ひとつ変えるだけでも、夜の印象がぐっと上がるため取り入れてみましょう。

ペット可物件にする場合の要注意。場合によっては物件を傷めてしまう可能性も・・・今一度検討を

上記で付加価値を付けるというお話をいたしました。近年はペットブームもあるためペット飼育している方にはペット入居可物件が人気です。そこで今までは入居者がなかなか集まらない物件でペット可にし入居者を募集するオーナーもみられます。

ですが不動産投資をする側としては、ペット可にすることにはリスクがあることも知らなければなりません。

ペット可の物件は様々なデメリットがあります。ペットを室内で飼うとニオイが壁紙などに染み付いているケースも多く、新たに入居者を募集する際に壁紙を全て張り替える必要があります。猫の場合は壁や柱を傷つけたり、犬の場合はフローリングが痛んでいる可能性もあります。壁紙の張り替え程度ならまだ良いのですが、柱や床材を取り替えるとなると費用が高額になり物件自体にも余計な負担をかけることになります。

ペットが住みやすい間取りや内装材の工夫が必要で、犬を飼う家庭向けに滑りにくいフローリングにしたり、汚れやニオイが付きにくい壁紙を選択するなどの必要性が出てきます。猫がいる家庭では壁や天井にキャットタワーの設置が喜ばれますが、一度設置すれば猫がいる世帯以外には貸しにくくなることも考えておきましょう。

入居者が入れ替わる時には、全てをリフォームする必要はありませんが、最低でもハウスクリーニングを入れる必要性があります。入居者率を高めるためにはペット可物件にすべきか迷う方も多いですが、上記鵜のように物件の劣化を速めてしまうリスクにもなります。

リフォームをする場合の要注意。デザイナーズ物件にする場合のリスク

老朽化した物件を人気のあるデザイナーズ物件へリフォームして家賃を上げよう!と考えがちですが安易に決めるのは危険です。一般的な物件に比べ外観がおしゃれで、内装にもこだわりが見られ洗練された印象となりますので幅広い人に人気が高く、せっかくリフォームするなら取り入れたいと感じる方もいるかと思います。ですがデザイナーズ物件はリフォーム費用が高額になるため、その分を家賃値上げでまかなうしかありません。周辺の平均家賃が10万円のところ、デザイナーズマンションだからといって15万円も出す人がどのくらいいるでしょうか?都内では成功する場合もありますが郊外では家賃相場に色をつけたくらいにしか上げられず、上乗せされたリフォーム費用の回収にさらに何年もかかり、その期間中さらに同じような修繕をしなくてはならなくなる事態も考えられます。

リフォーム費用はどれくらい掛かるの?

ではリフォームにかかる費用は、どのくらいが目安でしょうか?一般的には賃料の1年分が目安となります。1ヶ月10万円なら10万円×12ヶ月=120万円です。費用をあまりかけたくない場合では0.5年分で考えるとわかりやすくなります。10万円の家賃で0.5ヶ月で考えれば、60万円の費用となります。しかし、老朽化が進んだアパートでは、外観の古さも左右するため3年分で見違えるようになるかは、一概にいえません。

例えばキッチンの交換では最低でも70万円、浴室はユニットバスが人気のため60万円~、トイレはウォシュレット付きで10万円程度は見ておきたいところです。水周りを一式交換したとすれば、200~300万円程度は考えなければなりません。

最近では借主にDIYでリフォームを許可する物件も人気が出てきています。今はIKEAやホームセンターの建材を利用して手軽にDIYできる環境が整ってきており、借主自ら好きなようにリフォームするニーズも増えてきています。ほかにも費用は大家持ちで、借主が好みの条件を提示し、オーナーがリノベーションするカスタマイズ賃貸という利用方法もあります。

不動産投資をしていくうえで避けられない老朽化。ですが計画的に修繕費を積み立てておくことや、リフォームをすることで入居者が住みたいと思えるようになり、収益性は高まりますからぜひ検討してみてください。上手なオーナーなら安く購入した中古物件を、おしゃれなリノベーション物件に生まれ変わらせ、大きな収益を得ているような方もいらっしゃいます。

まとめ

  • 経年劣化は避けられない。そのため日ごろから修繕費を積み立てておく
  • ペット可物件にする場合は要注意。物件を傷める可能性も
  • 初期投資金額が少ない中古アパートはリフォームしさらに収益性のある物件にする戦略もあり
  • リフォームにかかる費用は一般的に賃料の1年分が目安

株式会社リッチロードでは全くの初心者からご経験者まで幅広く不動産選び、ローンの相談、購入後の管理、リフォームまで投資不動産に関するあらゆる事を一貫してサポートさせて頂きます。

無料個別相談のご予約はこちら