飲食店舗について思う事

まえがき

 近頃は駅前の飲食店等の店前に『閉店のお知らせ』を見受ける事が多々あります。長年お世話になっていたお店だと特に胸が痛みます。規模拡大を企図してより大型貸室に移転したのであれば、心密かにエールを送って終了です。が、閉店と共に事業終了のケースが多いかもしれません。の事何かしてあげられる事はなかったんだろうか?もう、ちょとお店に通っていればよかったのだろうか?

 今回は飲食店舗の賃料について、考察してみました。

1.ことの発端

新型インフルエンザ等対策特別措置法(平成24年法律第31号)第32条第1項の規定に基づき、令和3年1月7日、新型コロナウイルス感染症緊急事態宣言をしたところであるが、下記のとおり、緊急事態措置を実施すべき期間を延長するとともに区域を変更することとし、令和3年2月8日から適用することとしたため、同条第3項の規定に基づき、報告する。

内閣官房 新型コロナウイルス感染症緊急事態宣言の期間延長及び区域変更

 というわけで、引き続き、対象区域飲食店の営業が20時までの営業となった事は、皆様ご存じの事と思います。利用者が不便を受けておりますが、何より飲食店関係者の皆様がご苦労されている事と思います。

 そのため、かつては不夜城とも称された繁華街も夜20時以降は、賑わいがすっかり影を潜めております。テイクアウトのみのサービスのお店も多いようですね。

2.地代家賃の売上高に対する負担割合

 企業においての賃料は、どれほどの負担なのでしょうか?
賃料は、企業会計(GAAP)上は、『地代家賃』として損益計算書に計上されます。

e-State 政府の統計窓口

“e-Statは”、日本の統計が閲覧できる政府統計ポータルサイトです。
その中で『令和元年中小企業実態基本調査の概要』の一覧表を紐解いてみました。
調査年度は平成30年度の決算実績です。ちょっと古いように思われますが、公開日は2020年7月30日となっております。

『3.売上高及び営業費用 (1) 産業別・従業者規模別表』

↑の上記になります。水色網掛け部分が売上高で黄色が、販売費および一般管理費中の地代家賃で、下の欄は、地代家賃÷売上高で求められた割合です。

全産業(中小企業がその対象ですが)中の割合は1.4%となります。

余談にはなりますが、上記表中の従業者数を母集団企業数で割ると7.56人。売上高を母集団企業数で割ると155百万円になります。一企業当たりの売上高が155百万円と。そのうちの1.4%が地代家賃であると155百万円×1.4%=2,170千円。12ヶ月で割ると180千円。

平均地代家賃が、180千円。地代といいますが、借地のケースは、そうそうなさそうな気もしますので、家賃のみと考えていいのではないでしょうか?

3.飲食業は?

『3.売上高及び営業費用 (1) 産業別・従業者規模別表』

飲食店については、上記の“宿泊業,飲食サービス業”に分類されるようです。宿泊業というカテゴリーもありますので、日本式旅館、ホテル(観光ホテルから、ビジネスホテルまで含まれている模様)と合計になっているのはいささか乱暴な気もしますが、やむをえません。

早速、一番下の行にあります地代家賃割合(%)はというと。

 5.7%です。実はこの数字は全産業中一番高いです。売上高÷母集団企業数は27百万円です。母集団企業数÷従業者数は5.9人。27百万円×5.7%=1,539千円を12ヶ月で割ると128千円。月額12万8千円の家賃負担というのが、中小企業の宿泊業・飲食サービス業の平均値という事になります。

 超ざっくり言って家賃が坪2万円とすると128千円÷20千円=6.4 約6坪。カウンターとテーブルが2卓のみのスナックのイメージ?

あとがき

 店舗の賃貸借契約において、予告解約期間を考えてみましょう。賃借人から賃貸契約解約の意思表示をしてから解約に至るまでの日数の事です。住居であれば、大抵は1か月前予告かと思います。

これが事務所になると6ヶ月ぐらいになることが一般的です。SOHO仕様の住居兼用であれば3ヶ月もあり得ますが、これは短いほうだと思います。また、Sクラスのビル、基準階の専用面積が200坪であれば1年といったケースもあり得ます。店舗については6ヶ月~1年になるのではないでしょうか?

 今回の緊急事態宣言後も飲食店のみなさん、オーナーさんの受難の日々が続くやもしれません。

<了>