まえがき
新年になりまして土地価格の調べ方を、おさらいしておこうと思います。また一物四価ともいわれる地価を整理したくて本稿を書くに至りました。
1.相続税路線価
まず、土地価格の水準をざっくりでも把握しておきたい場合は、まず初めに所謂、路線価(相続税路線価)をみるのが、ポピュラーです。
こちらが、路線価のポータルになります。
相続発生時に相続財産が、土地の場合に相続財産の価格を評価するために利用されるのが、本来ですが、土地取引(更地のみの取引に限らず、土地建物併せた取引においても必要)
前面道路に付されている数字の単位は、千円/㎡です。
市街地の路線であれば、おおむねこの路線価が付されている事が一般的です。市街ではないような長閑な地域においては、この相続税路線価がないことがありますのでご注意ください。また、毎年の1月1日、つまり元旦時点の土地の単価を現しております。そして発表されるのは、その年の7月ぐらいになります。
下図の赤丸で囲った数字が路線価になります。9,730千円/㎡の意味です。また、右隣にあるアルファベットは借地権割合を意味します。
借地権割合は簡単に言いますと、更地価格が100とします。借地の場合は、更地の価格割合を借地と底地で分け合います。更地価格の100を分けるその割合の指標が借地権割合という事になります。
Aは借地権割合90%なので、借地権価格
9,730千円/㎡ × 90% = 8,757千円/㎡ となります。余談ながら。
2.地価公示価格と都道府県地価調査価格
地価公示価格は、毎年の3月中旬、春分の日ぐらいに発表される価格です。新聞の1面目に記事が掲載され、別紙で特集も組まれる事が多いので、みなさんご存じであろうかと思います。前述の路線価と違い、ポイント、宅地ごとに価格を現しているものです。地価公示価格は、その年の1月1日、元旦の土地価格を示しております。日本全国で2万幾つかのポイントがあり、10年位前にポイント数が減らされたことがありますが、近年は減った分がまた復活したり、あるいは公示のポイントとして用をなさなくなった場合、地域性を反映しなくなった等)
同様に、都道府県地価調査価格は毎年7月1日時点(地価公示価格が1月1日なので、ちょうど半年ずれています。)の土地価格を9月中旬(秋分の日前後のイメージ)に発表されます。
弊社のオフィスがある新宿住友ビルが、地価公示のポイントになっております。
下記に掲げました地図が新宿駅西口界隈になります。
赤丸で囲っております。ここで、イレギュラーなのが、番号と価格が二つあることです。
新宿5-9 13,500,000 新宿5-13 13,200,000 |
上段が地価公示価格、下段が都道府県地価調査価格という事で、地価公示と都道府県地価調査価格が重複しているという事になります。
3.固定資産税路線価
固定資産評価額は、個別の固定資産評価証明書を確認する他はなく、またそれは当該土地所有者若しくは、委任された者しか閲覧できません。が、しかし凡その価格の水準をつかむのは前述の相続税路線価同様、固定資産評価額にも固定資産路線価があります。
全国地価マップ
同じく、新宿住友ビルになります。旗の建っているところが、当該地の価格になります。(左の欄に詳細が記載されています。)
6,130,000円/㎡ということになります。
4.価格をまとめると
地価公示価格 12,300,000円/㎡※
相続税路線価 9,730,000円/㎡
固定資産税路線価 6,130,000円/㎡
となりました。ここで注釈をいたします。地価公示価格の元の数字は13,500,000円/㎡です。が、しかしながらこの価格は個別性を反映しております。
四方路…画地の四方を道路に面しているという意味です。二方向であれば二方路という具合です。道路に面している分だけ、効用が高いということで、+7.0%加算されております。
容積率…こちらは特定街区ということで容積率upとなっているので、さらに+3.0%加算されております。
標準的な価格 × (1 + 10%) = 13,500,000円/㎡ となりますので、1.1で割り戻して標準的な価格を出した次第です。
一覧を再掲します。
地価公示価格 12,300,000円/㎡ 100とすると
相続税路線価 9,730,000円/㎡ 79.1
固定資産税路線価 6,130,000円/㎡ 49.8
地価公示価格 × 80% ≒ 相続税路線価 が成立していそうですね。
さらに実勢価格(時価という言い方もあります)は地価公示価格の0~10%ぐらい上のイメージになります。
<了>